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2017/09/19

心地良い空間をつくる

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高緯度に位置する北欧の夏、6月頃からは白夜のシーズンに入ります。デンマークでは全く太陽が沈まない完全な白夜ではなく、数時間暗くなる時間帯もあります。それでも夜の10時頃までは明るい季節。爽やかな短い夏を目一杯楽しむため、目抜き通りの歩行者天国、ストロイエ通りではあちらこちらでチェアを出して日光浴を楽しみ、ニューハウンでは、夜遅くまで大勢の人がカールスバーグの瓶やコーヒーを片手に仲間や恋人と語り合う姿を見かけます。

一方でやってくる寒さ厳しい長い、長い冬。海からの風は凍えるように冷たく、耳がちぎれそうになるとはこういうことか、と思うほど。1日の日照時間も白夜の時期と比べると極端に短く、午後3時頃日没してしまうこともしばしばです。日本での生活から考えると、想像もつかないようなことです。でもそれが、北欧で生まれ育った人にとっては当たり前のこと。室内で過ごすことが多くなる寒い季節には、大きな窓からの冬景色を楽しみながら、暖かいリビングルームに自然と人々は集います。そんな季節も心地よく過ごそうと、潤いのある暮らしのために機能的でシンプルなデザインが発展したのはごく自然なことだったのです。世界的にも評価の高い北欧デザインは、取り巻く厳しい環境が必然的に生み出したと言っても過言ではないかもしれません。北欧の人々はデザインをそれぞれのスタイルで生活に取り入れ、日常的に使い込みます。それは個人の家だけではなく、空港や駅、街中など公共施設にも見られる光景です。北欧の生み出した世界的な名作たちが、あらゆるところで何気なく使われています。彼らにとって、デザインというものが決して特別なものではなく、日常なのでしょう。

PP75テーブル / PP68チェア

もう1つ、快適な暮らしのために大切にされてきたもの、それは「光」ではないでしょうか。北欧の人々は、光が人に安らぎを与えたり、逆にパワーを奪うものであるという事を熟知しています。特に、冬の北欧を訪れると感じる窓から溢れる光の美しさ。一体その奥にはどんな空間が広がっているのだろうと思わず覗きたくなるような暖かい光で溢れています。街中が陰影のある宝石箱のように感じられます。その美しさに目移りして、もう、ワクワクしてしまいます。住宅でもレストランでも、光を使った空間の作り方に感心するのです。どこも共通しているのは、天井からの照明で空間を均一に照らし明るくするのではなく、様々な照明器具を使って表情のある空間を作っていることが分かります。それもやはり、長い冬をいかにして快適に過ごすかという工夫の1つなのです。北欧諸国で照明器具のデザインが発展したのもこうした環境があったからこそ。今でも世界的に名作として残る照明器具のデザイナーは、そのデザイン性だけでなく、眩しさを感じさせずにできるだけ自然にその空間を照らし、心地よい空間を作ることを何よりも重視しました。また、自然な光を演出するものとして、北欧の日常にはキャンドルがよく登場します。ダイニングテーブル、サイドテーブル、窓際、キッチン、あらゆるところにキャンドルを置いて火を灯します。揺れる小さな炎は人の心を温めてくれます。いつまでも見入ってしまいます。壁に映し出される影は本当に心地良いものです。陰影のある空間を作るにはとっておきの、そしてとてもお手軽なアイテムです。

もうじき夏が終わり、日本も次第に気温が下がってくる季節がやってきます。まずは家にある照明の場所や照らす方向を変えたり、キャンドルを灯してみることで、目から入る温かさを演出してみてもいいかもしれませんね。